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賃貸経営・不動産投資、困ったときのフクマルさん ♯1 〜お金や地位、名誉は他人に奪われることもあるが、「学んだことは奪われない」〜

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イメージ/©︎rawpixel・123RF

不動産と建築の業界に携わって今年で33年目。「住まいは女性が一番知っている」「女性の大家さんには堂々と賃貸経営に携わってもらいたい」「安心安全な不動産取引をしてもらいたい」、このような思いから、女性大家の会「白ゆり大家の会」を2016年に立ち上げました。

不動産業界で生き残れるかどうかは、知識があるかないかで変わる、と私は思っています。私の経験談、そして、昨年の民法改正などについて、私独自の見解も交えながら6回にわたってお届けさせていただきます。

◆◆◆

薄給だった私には、不動産は魅力的な業界

昭和の終わり、不動産業界はバブルに向けて上昇景気でした。当時OLとして勤務していた会社の同僚が、新居を探していたので不動産会社の知り合いに紹介し、私も同行して物件を内覧し契約まで至りました。不動産会社から紹介料をいただいたのですが、ちょうどお祝いに渡せるくらいの金額だったのです。薄給だった私は「なんて手っ取り早くお金儲けができる業界なのだ!」と思い、不動産業界に入りたいと考えるようになりました。

当時は女性が参入できる環境ではなく、ちょっと曲者が多くて世間からは煙たがられていました。ですので、最初は建築業界の扉をたたき、木造住宅の建売会社に入社。CADオペレーターから建築確認申請の作成、役所廻りに現場立会いなどさまざまな経験を積みました。そして宅建士(当時は宅地建物取引主任者)を取得したこともあり、ヘッドハンティングで不動産業界に参入したのです。

ブラックな環境のなか、歯をくいしばりTOP級のセールスパーソンに

入社した賃貸仲介会社は、現在大手となっていますが、当時は超ブラック企業でした。ブラックな環境、かつ慣れない営業職で歯をくいしばりながら、わずか3カ月で阪神間では、トップ3まで入るセールスパーソンとなったのです。

その後、地元の老舗不動産会社にヘッドハンティングされ、事業拡大により賃貸管理会社の設立から、建物だけにとどまらず土地の管理、そして地主さんへ資産運営の企画提案なども行いました。さらに建売住宅や注文住宅の営業として地元で建築にも携わるように。さらに、そののち、関西では中核の売買仲介会社で業務マネージャー(エスクロー)など、営業の契約業務全般を管理するようになったのです。

そのなかで培った経験から、「不動産取引はどれだけ重要なものか」ということを改めて知り、不動産取引に対する向き合い方を学びました。

そういう経緯もあり独立後は、J-REC公認不動産コンサルタントや、宅建士合格後でも2年経験がない方への宅建登録実務講習の講師、宅建士試験の5問免除講師も務めさせていただくことに。このような機会に恵まれたことは私の大きな財産となっています。

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詐欺や誘惑の多い不動産業界 知るべきは業界の「昔と今」

不動産業界はいつの時代も詐欺や偽証や誘惑などが多い業界です。

なぜ、ここまで事故や事件が多発しているにも関わらず、なかなか改善されないのでしょうか。それは、実物投資であり高額なお金が動くからです。そして最近では「副業としても始められる」と安易な考えで始める方もいるのも要因の一つとしてあるのではないでしょうか?

しかし、今後は不動産業界も変わります。この業界に残れるかどうかは、知識があるかないかで決まると私は思っています。

まず知るべきは賃貸業界の昔と今です。

日本の人口は1967年に初めて1億人を超え、高度成長期には成長率が年10%を超えるほどでした。当時の建物は、風呂ナシ共同トイレの木造アパートが主流で、文化住宅も建ち始めていましたが、都市での人口増加の方が早く、賃貸物件は不足した状態でした。人口増加・地価高騰のため、建物を建てればすぐに部屋が埋まるという、古きよき大家の時代だったのです。町の不動産屋さんは周旋屋として活躍していましたが、賃貸物件のほとんどは自主管理であり、家族経営でした。

次第に面倒くさい入退去や通常のクレームなどの管理は、不動産業者に任せるようになり、昔は自主管理が多かったのが、今は逆転してサブリースだけでなく委託管理が80%になりました。来年から解除となる生産緑地法ができたこともあり、相続対策と称して続々と賃貸マンションが建築され建築ラッシュ時代へと突入。そこで、サブリースが登場し、税金対策として不動産コンサルティング会社ができました。

ところが、2008年の1億2808万人をピークに人口が減少し、21年3月1日現在の総人口は1億2548万人となったのです。大家族から核家族のスタイルとなり、世帯数も15年には頭打ちで、空室率が全国平均15%以上に達してしまい、18年には空き家が846万戸と、7.4件に1件が空き家となったのです。さらに、33年には2100万戸と3.3件に1戸が空き家になるとも予測されています。

そのなかで、「かぼちゃの馬車事件」や違法建築なども多発し、破産している大家さんも多数出てきました。そして、今後も人口減少によって空室が社会問題化し、経営破たんする大家さんが続出するであろうと言われています。

ですが、新型コロナウイルスにより先々に備えようとしているためか、不動産投資を新たな副業とされる方が、また増えてきているのです。

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騙されず、踊らされず、「いきなり実践」では失敗する

今後は、大家さんとして騙されず、踊らされずに生き残れるのかがカギになると思います。

不動産投資をするにあたって自分の属性はどうなのか? 収益物件を購入したいがどうしたらいいか? 将来はどうしたいのか? 出口戦略はどうするのか?ということを考えて進めなければいけません。

どんな投資でも「自己投資」が必要です。「学ぶこと、成長すること」に時間とお金を使うことです。何も学ばずにいきなり実践で不動産業界に参入しては失敗します。だけど、知識を詰め込んで頭でっかちになっても動けなくなります。なので、「動かないと始まらない」というのもまた、事実なのです。

言えるのはお金や地位や名誉は他人に奪われることもありますが、「学んだことは奪われない」 のです。そして、アイディア次第でお金は稼げます。知識は過去として、知恵は未来に向けて学んでください。

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この記事を書いた人

株式会社アトリエハウス 代表取締役・「白ゆり大家の会」主宰

保育士、製菓会社、建売会社のCADオペレーター・現場審査立会い業務を経て賃貸仲介会社へ転職。その後、地元老舗不動産会社から事業拡大のためヘッドハンティングされ、宅地開発、建売事業を行いながら賃貸管理会社・建設会社を設立。全営業責任者となり、建築営業において全国NO.1の営業表彰を受ける。2014年、アトリエハウスを設立し独立。不動産コンサルタント・講師業として活躍。不動産会社、建築会社や賃貸住宅オーナー向けに講習会も行う不動産のエキスパート。 資格:ファイナンシャル・プラニング技能士2級、宅地建物取引士、2級建築施工管理技士、賃貸不動産管理士、住宅ローンアドバイザー、不動産キャリアパーソン、損害保険代理店資格、占術鑑定士(四柱推命・気学<九星・方位・家相学>)、保育士・幼稚園2級教諭。

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